医薬品開発を支援する弊社と航空業界では一見つながりがない様に思えるものの、実は複数の親和性があることから、今回講演のお願いに至りました。

　講演会では、普段なかなか聞く機会のない航空業界のことやそれを支える管制官の方々の使命感溢れるスピリット・非常に高度なビジネススキルについて、また蔭山さんご自身のとても丁寧にゆっくりとした口調でのわかりやすいお話に社員共々楽しく聞かせていただきました。

　その講演で蔭山さんのお話や蔭山さんご自身に興味を持った社員を対象にした個別の研修『「コミュケーション」の大切さと「アサーション」の重要さ』をオンライン（Zoom）で実施していただきましたが、講演の復習から始まり、そのエッセンスを踏まえた内容、そして（ブレイクアウトセッションにて）蔭山さんオリジナルの9Doorsというワークもおこなっていただきましたが、お互い面識のない同志でのグルーピングであったものの、各グループでとても会話が弾んで打ち解けた様子で、大変効果的な手法であると驚きましたし、また参加者からも「自身が所属する組織で是非試してみたい」という声も多くでて、実際やってみて効果があったとのフィードバック早速も受けました。

　今後も個別研修『「伝える」と「伝わる」との違い～上司がおこなうべきこと～』などをおこなっていただく予定ですが、講演会⇒研修という流れが非常に良く、個別研修においてもしっかりと振り返りをおこなっていただけるため参加者にとってもすんなり研修に入っていけていますし、切り口の異なる個別研修のため、参加者が全ての研修に参加することもできる点もとても良いと思います。

　異なる業界ご出身の講師ではいらっしゃるものの、業界は違えど参考になる要素が多く、更にはCA出身の方の研修は世の中に多数ありますが、管制官出身の方の研修はあまり耳にしないことから、その貴重さからも参加者も飽きずに興味津々で聞いております。 

　医療の世界も航空業界と同じように、安心・安全が業務上最も大切になります。また、医師のみならず看護師、助産師、薬剤師、栄養士、心理士など多職種がモチベーションを保ちながら一つの目的を達成するために、いかにスムーズに連携するかが大きな課題となります。空港に行き、飛行機に乗り、目的地に着くという当たり前の様に安全を享受している航空機業界にもおそらく「安全を担保」する何らかのHow toがあるのでは無いか、異業種から学ぶことは沢山あるのでは無いか、と思ったのがTrust Walk社に講演を依頼したきっかけでした。

　より多くの人が関われば関わるほど必ず問題が生じるものです。「人間は必ずミスをする」という大前提のもとにチームビルディングを行う意味の深さや、専門職にありがちなテクニカルな部分ではなく、重大な事故の背景にはノンテクニカルスキルが大きく関わっていることなど、医療の世界にもそのまま当てはまる重要なポイントを学ぶことが出来ました。ひとつひとつの項目は容易に理解できた気持ちになりますが、いざそれを実践するためには職場環境の整備が大切になることもまさに実感でした。チームビルディングとは、土を耕し、種をまき、やっと芽が出るのと同じようにじっくりと取り組む必要があること、そのためのポイントを学ぶことが出来た講演会でした。

　今回はチームビルディングについてまったくの素人を対象とした講演会だったため広く浅い講演内容でしたが、それぞれの項目をもっと深く掘り下げて聞きたいと思わせる内容でした。聴講者からも「もっと聞きたかった」「ここを掘り下げて欲しかった」などの評価を頂き手応えを感じることが出来ました。こちらで時間設定をさせて頂いておいて言うのも何ですが「3時間は長いかも」と危惧していましたが、気がついたら終了時間になってしまうほど濃密な時間を過ごすことが出来ました。講師の蔭山さんの語り口調や質問への受け答えなども非常に丁寧でポイントを的確に伝えて下さったので、終始心地よく拝聴することが出来ました。

　今後は、チームビルディングの考え方を職場に浸透させるためにはどうしたら良いかや、それぞれの職種が自ら考え行動できるための土壌作りなど、「信頼」と「共感」に満ちた職場を作るための方策を相談させて頂きたいと思います。「気がついたら180度旋回」を合い言葉に、「じわじわ作戦」を進めていきたいと思います。

ベーストレーニング「COMPASS」を受講して

　2021年10月31日に開催された高知県周産期医療講演会にweb参加して、貴社蔭山代表取締役の講演「多職種でのチーム形成とリスクマネジメント～なぜ、飛行機は最も安全な乗り物になり得たのか～」を視聴しました。医療界における医療安全の問題と通じる部分がたくさんあり、更に深めたいとTrust Walk社のベーストレーニング「COMPASS」を受講しました。

　2022年8月に受講を開始し、2週間に1回のペースで翌年3月までかかりましたが、毎回蔭山さんとのトークに癒されながら受講を終了することができました。

　丁度、病棟で医療安全の学習会をやろうという話が持ち上がり、「チーム」というものを考えようという話になったので、月に１回最終水曜日の夕方5時～6時にCOMPASSの資料に沿って学習を進めることとしました。

　チームマネジメント学習会『空のチームマネジメント　ベーストレーニングに学ぶ』と題し、1時間で終了すること、インプットだけでなくアウトプットもすることという２つのコンセプトを柱に、全10回で学習会を企画しました。2023年4月に第１回を開催し、2024年3月末まで１年間のプロジェクトです。2024年1月の回には、わざわざ東京から蔭山さんが見学に来てくれました。

　私はALSOという周産期救急のシミュレーションコースのインストラクターで、チームSTEPPSの学習もしているので、学習会にはその教材も入れています。

　蔭山さんが私にしてくださったとおり、最初には前回の復習をし、最後にはまとめの他に課題の提示もしています。学習会に集まったその日のメンバーで、3～4人で１グループを作り、ワークも行います。

　もちろん専門家集団である我々医療従事者は、個人の知識や技術を磨く必要はありますが、優れた専門家集団が必ずしも優れたチームとはなりません。

　優れたチームには共通認識が必要であり、コミュニケーション、相互支援、状況モニター、リーダーシップが必要です。なので、共通言語で話すなど、チーム作りにもトレーニングが必要なのです。チームとして機能するためには必要な技術があります。臨床経験の中で身につけ実践している方々もたくさんいますが、なかなか体系的に学ぶ機会は我々世代にはなかったと思います。

　今は、医療機関に安全室が作られ、医療安全のための知識を学んだり、原因分析をする場合にも人間はミスをすることが大前提で、「ヒューマンエラーは原因ではなく結果である、ヒトが行動を決定する際には様々な環境から影響を受け結果に結びつく、インシデントを減らすためには個の責任を追及するのではなく環境改善が重要」という話になります。

　同じ絵を見ても描いた絵が同じではない、状況認識の捉え方が異なることを前提にしたチームマネジメントが必要で、状況認識を共通にしていくためには双方向コミュニケーションとアサーション等々、私は「COMPASS」でたくさんの事を学ばせて頂きました。是非、現場に生かしていきたいです。